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2025/02/11 00:09 |
驟雨
局地的にかもしれませんが、ちょうど帰宅時に猛烈な雨に見舞われました。
傘なんて当然持っておらず、本当に急な雨だったために数百メートル避難するだけでもだいぶ濡れてしまいました。お店の軒下で突然の出会いが!という訳でもなく、コンビニで傘買って帰りましたが。
以前、どこぞのオフィスビルを出たところで雨が降っていて、周囲にコンビになくてどうしようかなーと困っていたところ、ちょうどそのビルに帰ってきたらしき方が傘をくれました。
ビニール傘だから返さなくていいよーと仰って、情けが身に染みました。嬉しかったな-。
私も困っている人をみかけたら助けよう!と心に誓った日。おおげさですが。

風邪っぴきで更新が滞ってますが、お暇つぶしとばかりに没ネタを以下に置いておきます。
もしも子爵令嬢一代記が、もっと恋愛寄りの話だったら見られたかも知れないカイルとヘルツの世間話。
ずっと以前に書いて、これは使えないな~と。

というわけで、本日の折りたたみは没ネタなので、拍手お返事はまた明日させて下さい。
更新がない間にも拍手やメッセージ頂けて、とても励みになっております。
ありがとうございます!

冒頭、唐突に始まっています。
どこぞでカイルとヘルツが会話しています。
カイルがヘルツにお前、噂されてるぞ~って話を振って、ヘルツが「まあね」って感じで会話を流した直後。
没なので尻切れトンボです。
そして読みにくくてすみません。

拍手[1回]

 自ら話題を振った割に、カイルは気のない相槌を打つ。そのように答えると予想していたのかもしれなかった。
だが話をそこで仕舞ったりはせず、更にヘルツへと問いを投げかけた。
「俺としては女婿の座を狙っている、の部分に興味があるんだが?」
女婿の座。つまりは、子爵令嬢の夫となることである。
ヘルツは、それこそ思いもよらないことだと笑った、
「現実的に考えればわかるだろうが、10歳と21歳で恋愛は成立しないし、立場というものがある。子爵家の一人娘と、貴族とは名ばかりの帝国騎士の家柄の男が一緒になれる訳もない」
ヘルツが述べるのは、一般的な常識だ。
身分の低い女性が身分ある男の元へ嫁ぐ、もしくは愛妾の立場となる話は数多くあれども、身分の低い男と身分ある女性の組合せはあまり聞かないのだった。なぜなら、やんごとなき身分の女性は自ら働くことをしない場合が多いので、いきおい伴侶には経済力や地位といった『良い』男が選ばれることが増える。
それに、貴族の結婚というのは単純な個人的感情だけで成立するものではない。家と血統を背負って伴侶を選び、子を育むのだ。結婚を他家と繋がりを持つチャンスと考えるなら、そこらにごろごろいる帝国騎士の家柄の軍人などより、爵位を持つ家柄の男を迎える方がメリットがある。
「俺達の仕える子爵家と、あのお嬢様に限ってその現実的ってのは通用しない気がするけどな」
そう言って、カイルはその現実的常識から適用除外となる条件を並べた。
「前当主のじい様は、家柄なんかより人柄や能力を優先する性格だろう。次に『お嬢様』の親は貴族には珍しい恋愛結婚で、愛し合って結ばれるなら…ってゴリ押しすれば折れそうなロマンチストだってこと。そして肝心なことだが『お嬢様』は身分なんて屁とも思っていない、ってのは十二分に感じられるところだろう? そもそも身分なんて殆ど意識してないよな、あれ」
あれ、が指し示す数々の事柄を、護衛として子爵令嬢の側近くにいることの多いヘルツは目の当たりにしていた。
子爵令嬢という身分の少女が、使用人に高圧的に振舞うこともなく、迷惑をかけた際には礼と謝罪を述べる、という光景を見られることも珍しいのだが、その令嬢が領民の視察といって平民の生活の場に出かけてゆき、普通にパンや菓子を買って公園で食べたり(そもそも身分の高い女性はテーブルクロスのかかっていないテーブル以外で物を食べないと言われている)、話しかけてきた子供と無邪気に話して遊んだり(それもボールを蹴って遊ぶなどと…)はしないものだ。
そんな少女だから、いざ伴侶を、といったときに貴族的な価値基準で相手を選ぶということは確かに考えにくかった。
「身分を意識しないとしても、だからこそ自らの心で選ぼうとなさるだろう。自分は単なる護衛で、十以上も歳が離れている」
「歳がって話なら、エーデルバーグの二人がいるだろう」
子爵令嬢の乳母であり侍女でもあるゼルマと、子爵家の執事であるクラウスは歳の差が15もあるのだが、結婚から20年近く経とうという今でも夫婦仲の良い二人である。
カイルはにっこり笑う。
「俺が訊きたいのは、あんたはどう思っているか、って部分なんだ。以前、じい様が言ってただろう、家柄と金は子爵家にあるから、相手に望むのは人柄と、できれば軍人であることってな。あんたにぴったりじゃないか」
問われたヘルツは、目の前の同僚の真意を図りかねていた。
(買い被り過ぎだ)
自分の心の内を知って、この男はどうしようというのだろうか。
「思いもよらないことだ。あの方は、まだ10歳だぞ?」
ヘルツは淡々とした声音で言い切った。
確かに黒髪の聡明な少女には、仕事の義務感以上の興味も愛着もあるが、恋愛対象として認識はしていないヘルツだった。
そのような相手として見るには、彼女は小さく幼すぎた。
彼はごくごく標準的な恋愛嗜好の持ち主で、適齢期と呼ばれる女性でなければ、そのような対象としてみなすことに嫌悪を覚えるタイプである。
カイルはヘルツの感想を、鼻で笑い飛ばして一蹴した。
「あと6年経てば16歳、あんたは27歳? 問題はないだろう。貴族なら十代の結婚なんて当たり前だしな」
「たとえそうだとしても、自分は身の程を弁えている。そのように考えていると知れたら、それこそ陰口を笑い飛ばせない」

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2009/10/14 23:56 | 雑記

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